地熱発電
日本は火山列島と呼ばれるほど火山の多い国です。地下深部にはマグマが存在し、膨大なエネ ルギーが眠っています。地熱発電はこのエネルギーの一部を蒸気という形で取り出し利用する ものです。 地熱は、エネルギー資源にめぐまれないわが国にとって、純国産の再生可能な貴重なエネルギー 資源です。
再生可能エネルギーの中では、天候に左右されずに、年間を通じて安定した電力を 供給することが可能なため、設備利用率が高い。 また、地熱は発電のほかにも、浴用、施設園芸、道路融雪など多目的の熱水利用の熱源として 地域開発にも役立っています。
※(2012年2月、環境省の検討会で開発が規制された国立公園などの一部の地域については 公園の外などから斜めに井戸を掘ることを条件付きで認める基本的な考え方を示した。)
「プランB」の著者 レスター・ブラウン氏は、「日本はなぜもっと地熱を使わないのか。日本に は1万カ所も温泉があり、日本の必要量の半分賄える」と言っています。 地熱発電は石油などの化石燃料を使わない地球にやさしいクリーンエネルギーとしても、その 重要性が再認識されています。
アイスランドは以前は石炭でしたが、今では 電力発電の99%を水力と地熱で賄っています。 電力エネルギーに限れば15%前後が地熱発電 によるもので、特にクラプラ(Krafla)のものは 世界最新の地熱エネルギー・パワーステーシ ョンです。 電気を産出するだけではなく、一方では熱水 を産み出し極北の生活には欠かせない暖房シ ステムを賄っています。
アイスランドは地熱活動が活発で、地熱をエネルギー源として世界で最も活用している天然エネルギー源利用の最先端国です。
地熱発電のしくみ
石油文明は利便性、経済性、快適性の代償として廃棄物問題、CO2の増加、地球温暖化、有害化学物質、生態系への影響問題など引き起こしました。これからは、物質、エネルギー資源を石油からバイオマスに転換することによって持続可能な社会を具現化していくことです。
地熱発電の現状
地熱開発は、平成になってから約31万kwの開発が 行われ、それまでの22万kwの開発と合わせると 約53万kwを超える電源となり、ようやく本格的 導入段階を迎えています。
また近年、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下 に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水 を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電 (hot dry rock geothermal power:HDR)の技術 も開発されています。地熱利用の機会を拡大する 技術として期待されている。
地熱の多目的利用
地熱資源は、発電とそのほかの多くの目的に共同利用できるのが特徴の一つです。地下から蒸気を 取り出すと、蒸気のほかにその何倍もの量の熱水が出てきます。この熱水の温度は、100℃以上 ありますが蒸気発電には使用できないため、還元井により地下に戻されています。 地熱発電所のある市町村の多くでは、この熱水のもつエネルギーの有効利用を図るため、河川水 と熱交換して造成熱水をつくり近くの地域へ供給し、地域開発に役立てています。