NPOローハスクラブ




第5回 Boulder グリーン研修

第5回 海外研修 Boulder & Denver 
LOHAS & Green Building 研修 2008年4月21日〜25日

今回は、最近注目されている建築物の環境基準を認定するLEED認証制度やエコ住宅の認定をどのようなコンセプトに基づいて認証し、実施しているのかを実態を探るべく都市計画家やランドスケープ、建築に実際に携わる方でグループを作り視察研修を行った。とはいってもロハスな視点は外さないように食や農の視察も兼ねる盛りだくさんな企画であった。

今回はボールダーのブティックホテルに滞在し家族的な雰囲気の中、気楽なステイが楽しめた。
宿泊のホテルはボールダーで唯一「Green Hotels Assosiation」のメンバーである“Briar Rose”です。
オーガニックコットンのシーツ、オーガニックな朝食、家庭的で、いつでも自由にお茶を飲むことができ、焼きたてのクッキーが用意されていました。

2日目

前日の長旅の疲れが残るなか、早朝、デンバー市へ向かう。
アライアンスセンターという100年前に建てられたビルがリノベートされ、LEEDのゴールドを獲得した環境に優しいビルに生まれ変わり、NPOやNGOなど非営利団体ばかりが入居しているそのビルを見学し、その手法について説明を受け、部屋をお借りして2つの講演を聴くというハードな日なのだ。

ブリック(煉瓦)で作られたビルが建ち並ぶ一角にある貫禄のある建物だ。コロラドロッキーズの野球場の近くで連邦環境省の近代的なビルの近くである。双方のビルも古いブリックの外装を残しそれぞれ近代的に改装されている。デンバー市が見かけの近代化だけでなく古いものを残し、今も残る大きな煉瓦づくりの倉庫群との調和を図るこだわりが感じられる。会場のアライアンスセンターはその名の通りそれぞれの非営利団体がアライアンスを取りながら効率の良い運営や情報の共有をしていこうというコンセプトのビルのようだ。

SESSIONー1

モーニングセミナーは、創刊者でもある“LOHAS Journal”元編集長のFrank Lampe氏の講義から

LOHASの第一人者Lampe氏の最新LOHAS事情
デンバー市都市計画部門のWilliss氏から発展するデンバー市の開発ポリシーなどの説明を

 

 

 

Alliance Center

モーニングセミナー終了後、会場であるAlliance Centerを見学。この建物は1908年、百年前に建てられたビルを2005年にグリーンビルディングに改装し、LEEDのゴールドを取得した建物。
環境、人権、動物保護団体などNPOだけが入居している。家賃を聞いて「東京と変わらないな~」と思ったら、なんと年間の賃料だった。
壁は、採光を得られる素材を使用し、公共スペースには、OCCUPANCY SENSORS により、人の居ない時は自動的に照明をコントロールし節電している。

 

 

 


古いビルをグリーンビルディングに改装するのに、まず最初にできることは、節水だという。
蛇口はスプレイパワー、男性用トイレは無水型などで改装後、水の使用量を84%も減らすことができたそうだ。
グリーンビルディングについては、こちらのページも参考にして下さい。

EPAビル

EPA(米国環境保護局)のビルは、2007年にグリーンビルディングとして完成し、LEEDのゴールドを取得したビルです。
パスポートチェックや空港と同じようなセキュリティチェックを受け、このビルを建築した会社の人から説明を受けた。
古いビルを改装したAlliance Centerと新しく建築されたこのEPAビルは、共にLEEDのゴールドを取得したグリーンビルディングだが、2つの比較ができた。

Stapleton(ステイプルトン再開発地域)

旧デンバー空港跡地で、開発コンセプトは「サスティナブル・コミュニティ」。居住地域かあら商店街やその他生活区域まで全てを自転車で移動できる距離に設計「コミュニティ自体が持続可能な設計」。
ここに住みたいかどうかは別にして広大な敷地に池やグリーンベルトが確保されていて環境は抜群!!区域周辺の住宅地との共生と連帯を考えて境界をなくすなど一体感を演出し、実際にコミュニティーに参加してもらい理解を深めている。
空港と市との第三セクターから委託を受けた周辺住民がデベローパーを選び委託しているという。学校などの充実が目についた。主な特長は

  • 土地のリサイクルがテーマの開発
  • LEED Cert.を持つ個人宅の数がアメリカの開発プロジェクトで最大
  • ランドスケーピング地場のプラントを採用のため管理に使用する水量を節約できる
  • デンバー市のグレーウォーター(非飲料水)をランドスケープに利用するシステムを開発中
  • 野生動物の生息地を用意した etc.

3日目

SESSIONー2

コロラド大学の建築計画主任教授Rick Sommerfeld氏を訪ね、究極のエコハウスの実験プロジェクトと世界中のエコハウスを集めたコンペの講座とボールダー郡政策部門のディレクターを務めるMichell Krezekさんのプレゼンテーション

コロラド大学 Rick Sommerfeld教授
ボールダー郡のMichell Krezekさん

 

 

 

コロラド大学


セミナー終了後、法学部のグリーンビルディングの校舎(写真左)を案内してもらった。この校舎は学生たちの寄付、そしてその条件がグリーンビルディングにすることであり、今後建築を計画されている建物もすべてグリーンビルディングになるという。
写真下は裁判の勉強用の部屋。実際の簡易裁判に使用されることもある。椅子の色がランダムなのは、壊れて修理の時、全部取り替えなくても色の違和感を感じないように。

■ Whole Foods Market


ホールフーズマーケットで、昼食とショッピングを。相変わらず人気のようで混んでいました。

取扱商品のインフォメーション・リーフレットの数々。教育的内容も書かれている


エコハウス (プライベートハウス)


午後はエコハウスを見学。個人のお宅を特別に見せてもらいました。
写真右のお宅は「Solar Harvest House」という名で、電力と暖房等の全てをソーラーパワーによって賄われている。正にソーラー・ハーベスト(収穫)ハウスです。2006年に「Renewable Energy and Sustainable Design in Buildings」という賞を受賞し、オーナーのご主人は、この家の宣伝にかなり熱心な様子でした。

その後、1時間ほど車でロッキーの山を上り、究極のお宅を拝見!こんな山の上にあるのです。
ソーラーパネルも屋根の上でなく庭に立てて設置

←玄関も自然の素材を生かし、「人の顔」のように見えます。


 

 


←この椅子の脚は、木の枝でできているのです。背板も白木です

 

 

ReSource Center

この日最後の訪問先は、NPOが運営する資材再利用・再生利用センター。ボールダーでは家を改築する時、解体作業時に出る廃材の65%以上を再利用もしくは再生利用に役立てなければならない規則がある。このような資材再利用・再生利用センターに寄付をする。
ベッドやドアーなど様々なものがあり、日本の粗大ゴミの中にはここに置いてあるものより、もっと使えそうなものがたくさんあることに考えさせられた。
モノそのものには手を入れず、パーツ毎に置き場を分けて販売。

 

 

 

 

 

 

 

 

4日目

■ Abbondanza Farm

4日目はフリータイム、昨年の研修でも人気のオーガニックファーム「Abbondanza farm」をみんなで訪問。今年、ボールダー郡のLafayette市のオープンスペース(環境維持のため住宅や建物を建てられない地域)の活用計画に応募、見事採用されここに農場を移転。

配管やポンプ、スプリンクラー設備、駐車場、販売テントや冷蔵庫などを市が負担し、地産地消の農産物の販売やオーガニック野菜のタネの栽培をする。3年間は地代は無償で、売上収入が保証されるという全く羨ましい環境だ。


この農場の野菜は、すべてオーガニック。
種も採種して販売している。
「ひと冬寒いところに置いておき、元気だった玉葱を採種用に再び植えるんだ。だから最強の玉葱なんだ」とリチャードさん。

 


種を採るために玉葱を植えている。
息子のディラン君も慣れた手つきでお手伝い!

 

 

 

New Belgium(ビール醸造所)


このNew Belgium Brewing Companyは、アメリカのビール醸造所としては初めて100%風力発電で運営されています。水の再利用、グリーンビルディング、3Rなど幅広い取り組み。
見学後は4種類のビールを試飲させてくれる。味わったことのないようなビールもありました。

ボールダー最後の晩は、オーガニックレストラン“Sunflower”でみんな一緒にお別れディナー。 
5日目、早朝にボールダーを出発しデンバー空港へ・・・・・帰国

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