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ニューヨーク支局からは、
トレンド情報誌の先がけとなった「PRONTO」や「USフードジャーナル」の編集長を務め、現在は健康食品ビジネスコンサルタント会社を運営し、英文の日本の健康食品市場レポートを発刊しているポール山口がレポートします。
ニューヨーク支局  

今回はマンハッタンに続々出現している高層グリーンビルディングのレポートです。
縦軸風車やLED照明、バイオ空調、雨水の収集など知恵を集結している。

セントラルパークだけではないNYのグリーン

高層ビルが所狭しと聳え建つマンハッタン。その中でグリーンと呼ばれるのはせめてセントラルパークだけかと思いがちだが、今この地にグリーンが増えつつあるのだ。そのグリーンは草や木々生える公園ではなく、環境に対応したクリーンでグリーンな高層ビルのこと。

Twin Towerが消えたNYのダウンタウン
NYのスカイスクレーパー30年で3倍の高さに

マンハッタンには数多くスカイスクレイパーと呼ばれる高層ビルがそびえている。だが、マンハッタンに最初に建てられた高層ビルは、今から100年以上も前の1902年に完成したブロードウエイと5番街の交差する23丁目に今も商業ビルとして健在なフラットアイアンビルである。スカイスクレーパーと言えどもその高さは地上87メートル、21階建てであった。
当時、周囲の建物の多くが4階建てであった事を考えれば、それは高層ビルに値するのであったのであろう。そのわずか10年後にはフラットアイアンビルの3倍の高さを誇る、ウールワースビルがダウンタウンに完成している。その後、1930年には地上318メートルのクライスラービルが、そしてその翌年には381メートル102階建てのエンパイアステートビルデングが完成。わずか30年間の間にスカイスクレーパーの高さは3倍にも伸びている。

最後のスカイスクレーパー

その後、ロックフェラー(現GEビル)パンナムビル(現メットライフ)など幾つかの高層ビルが出現したが、エンパイヤステートビルを凌ぐ超高層ビルはその後40年の間建てられていない。その後、エンパイヤステートビルを凌ぐ超高層とも言えるランドマーク的なビルは、今はその形を残さないワールドドトレードセンター(WTC)のツインタワーであった。日系の建築士ミノルヤマサキが設計したWTCは1977年に完成、当時は世界一の高層ビルとして知られ、2001年9月11日にその姿が消えるまでツインタワーと呼ばれ、マンハッタンには欠かせない光景として親しまれてきた。

始まるフリーダムタワーの建設

ナインイレブンから5年目を迎えたWTCの跡地、グラウンドゼロは今でも地下20メートルの底にコンクリートの土台をあらわし、四方は高いコンクリートで囲まれ、壁からは鉄骨がむき出しになっている。その広さは約6万平方メートル。それはさながら水の入っていない巨大なプールの様だ。このグランドゼロに建設が決定ているフリーダムタワーの工事がいま丁度始まったところだ。


Freedom Towerの工事が始まった、グラウンドゼロ
フェニックスのごとき現れたグリーンな7WTC

その巨大なグランドゼロの東側に今年5月、地上230メートル、52階建ての7WTCがいち早く完成した。その姿は、まるで瓦礫の中から生まれ出たフェニックスのようにも思われるほど勇壮で人々に希望をもたらしている。
この7WTCビル、実はグリーンオフィスタワーとしてワールドグリーンビルデングカンセル(WGBC)よりエネルギー、環境対応設備を完備したビルとして承認された、NYで最初の建築物でもある。WGBCではLEEDシステム (Leadership in Energy and Environmental Design) というビルの格付け制度を設け、世界のビルの環境対応度ランクを毎年発表している。今回の発表でこの7WTCがゴールドの環境対応ビルとしてランクされている。

クリーンでグリーンなビルとは

この7WTCがどのように環境対応をしているかと言うと、ビルの最上階では雨水を集め、冷房、トイレの排水に使われ、さらに余った水は周辺の公園の芝生などに撒かれ再利用。最上階には大型フィルターが設備され、ビル内のみならず大気の空気の洗浄を施している。同ビルでは、ビル内の空気を洗浄する事で、気管支炎、アレルギーなどに費やす健康医療費を大幅に削減できると言う。

グランンドゼロにフェニックスの如く聳え立つ7World Trade Center
photo: courtesy of wirednewyork.com
さらに、オフィス内の空気を洗浄する事で、ワーカーの生産能力も20%上昇すると計算している。ビルに使用されている鉄骨の30パーセントはリサイクルされた素材を使用。ビルの周りを覆う外壁のガラスは、光を良く吸収し、室内の照明利用を低減させ、センサーにより外からの自然光の吸収度によって室内の光度が調節される。さらに外壁ガラスはソーラーパネルを兼用し、熱を反射しながらエネルギーを吸収、ビル全体がソーラーパネル発電。これで、ビル内で消費するエネルギーの30〜40%を供給できるという。ビルのインテリアに使われている木材を始めとする材料は再製材料を利用、ペンキなどもオーガニックペイントを使用。前途のグリーンビル協会の調査によると、自然光のもとでは、文字を読むとその速度が人口照明の下でよりも26パーセントも上がるという。さらに自然光のショップでは、人口照明のショップに比べ、売上げが40パーセントも上昇する事が解っている。自然光が人間に及ぼす効果は意外と高い事が明らかだ。

スカイスクレーパ博物館

NYタイムス紙にこのグリーンNYの記事が掲載され、ダウンタウンのスカイスクレーパーミュージアム(本当にこの様な博物館があるのです)でグリーンビルに関する展示会が開かれているとの事で、早速出かけてみた。
聞いた事もないミュージアムなので一応、出かける前にサイトで確認して出かけたけれど、さっぱりそれらしい場所は見つからない。そのミュージアムがあると思われる地域は人もまばら。場所を尋ねる人もみつからない。10分程周囲を探しまわっているうちに、地域の警備員を見つけ聞いてみると、そこから僅か1ブロック程はなれた場所にあるという。

それは、ミュージアムというよりも、オフィスビルの様で、外部のサインも小さく見過ごしてしまう程の大きさ。入口のガラスドアーを押して中に入ると、受付らしきものがあるが、人が見あたらない。うーん、ここは、勝手に入って見てもいい博物館なのかなどと思案していると、どこからともなく30がらみの女性が現れ、ぶっきらぼうに5ドルという。その5ドルが入館料を意味していると直感し、女性に5ドルを手渡すと領収書のプリントアウトを手渡し、彼女は自分の仕事はこれでおしまいね、と再び姿を消してしまう。

普通なら、料金を払うと、博物館の案内書の様な印刷物をくれ、よくいらっしゃいました的な挨拶があっても不思議ではないのだけれど。ここでは、まったくそんな気配はない。どちらかというと、何しにきたの。見るのなら5ドル払って勝手に見ていって、という態度である。仕方なく矢印の案内に沿って歩いていくと、展示会場らしき部屋にたどり着く。


Ft-med: Freedom Tower完成模型
photo: courtesy of wirednewyork.com
新聞に記事が掲載されていたので、さぞかし混雑しているかと思ったが、会場内は静かでガラーンとしてる。会場内には他に建築家志望の学生らしきカップルが一組スケッチブックを片手にパネルを読んでいるだけと寂しい。会場には新聞に紹介されたグリーンビルの模型と説明パネルと共にグラウンドゼロに建設されるフリーダムタワーの完成模型が展示されている。建設がやっと始まったフリーダムタワーもグリーン環境対応ビルとしてLEEDのランクに記されていると説明があった。さらに足を進めると、NYで建設予定されている幾つかのグリーンビルの模型が展示され、環境対応への説明ビデオが壊れたレコードのごとく同じ場面を数分毎にリピートしていた。20分ほど館内で過ごし外に出てみると、その場所はグランドゼロとは目と鼻の距離であることに気付く。

完成間近いハーストマガジンタワー

さて、LEEDのランク付けにNYのグリーンビルとしてランクされているもうひとつのビルが、大手メディア、ハースト社が西57丁目に建設しているハーストマガジンタワーがある。

このタワーは1928年に建てられた同社の古い建物を一部残しその上に建設しているもの。タワーは三角を基調とした外装で、これにより鉄骨の使用量を従来の工法に比べ20パーセント約2000トン削減している。使われている材料の85パーセントがリサイクルで生まれ返ったもの。このビルでも屋上で雨水を集め地下の貯水タンクに貯め、空調やトイレの排水としてリサイクル。さらに雨水は3階の高さからロビーに流れ落ちるアイスフォールと名付けられた滝などに利用し、ビル内の乾燥緩和に役立てるという。
ファッサードのガラスは光を最大限に吸収し室内の電力消費を削減、熱は反射し室内の温度を一定に保っている。オフィス内で使われるコンピューターやデスク照明にはセンサーが設備されており、人が席を離れるとセンサーが感知し電源を落とし、席に戻ると再び電源が戻る装置も配備、電力消費を削減している。ハースト社によると、ビル内で働く2000人の人々は、NYで最もきれいな空気を吸うことになると同ビルの空気洗浄設備を自慢する。

Hearst Magazine Tower
photo: courtesy of wirednewyork.com
サステイナルブルデザインと呼ばれるグリーンビルの建築コストは従来の建築費に比べ20%ほど高価になるが、建築後のビルの維持費やビル内で働く人々の健康管理を考慮に入れればよい投資であるとハースト社の広報はいう。

まだまだ増えるNYのグリーン

現在NY市にはこの他に13のクリーングリーンビル建設計画があるという。NY市のグリーンといえばセントラルパークという時代からNYのグリーンは高層ビルという時代になるのではないかと思うのはちょっと気が早いかもしれない。






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